
高脂血症(脂質異常症)外来
「コレステロールが高い」「中性脂肪が気になる」そう言われたことはありませんか?自覚症状がなくても、血液中の脂質バランスが乱れた状態が続くと、動脈硬化が静かに進行します。早めの管理が心筋梗塞・脳卒中の予防につながります。
高脂血症(脂質異常症)とは
血液中のLDLコレステロール(悪玉)・中性脂肪が過剰になったり、HDLコレステロール(善玉)が低下したりする状態を「脂質異常症」と呼びます。かつては「高脂血症」とも呼ばれていましたが、HDL低下のように”高い”わけではないケースも含めて「脂質異常症」という名称が正式に使われています。
日本人成人の約2人に1人が脂質異常症に該当するとされており、自覚症状がほとんどないことから健康診断で初めて指摘されるケースがほとんどです。
LDLコレステロール高値
「悪玉コレステロール」が増えると血管壁に沈着し、動脈硬化を引き起こします。最も重要な管理指標のひとつ。
HDLコレステロール低値
「善玉コレステロール」が低いと余分なコレステロールを回収する力が弱まります。40 mg/dL未満が異常。
中性脂肪(TG)高値
エネルギーの摂りすぎや飲酒・糖質過多で上昇します。150 mg/dL以上が異常。膵炎のリスクにも。
💡 コレステロールは悪者ではない
コレステロールは細胞膜やホルモンの材料として体に必要な物質です。問題は「バランスの乱れ」です。LDLが過剰になったり、HDLが少なすぎたりすることで血管が傷つきやすくなります。数値を正しく理解し、バランスを整えることが大切です。
症状・サインを知る
脂質異常症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、ほとんどの場合に自覚症状がありません。ただし、異常値が長く続いたり非常に高値になったりすると、体にサインが現れることがあります。
⚠️ 症状が出る前に対処することが重要
黄色腫などの症状が出るほど脂質値が高い状態は、すでに動脈硬化が相当進んでいる可能性があります。症状が出る前の健診段階での対処が、心筋梗塞・脳卒中の最大の予防になります。
検査・診断の基準値
脂質異常症の診断は血液検査で行います。空腹時(食後10時間以上)に採血するのが基本です。以下の基準値をもとに診断します。
| 検査項目 | 基準値(mg/dL) | 評価 |
|---|---|---|
| LDLコレステロール(悪玉) | 140以上 | 高LDLコレステロール血症 |
| HDLコレステロール(善玉) | 40未満 | 低HDLコレステロール血症 |
| 中性脂肪(トリグリセリド) | 150以上 | 高トリグリセリド血症 |
| non-HDLコレステロール | 170以上 | 高non-HDLコレステロール血症 |
🩺 LDLの目標値は人によって異なります
すでに心筋梗塞を起こした方・糖尿病や慢性腎臓病がある方は、動脈硬化リスクが高いため、LDLの目標値がより厳しく設定されます(例:70 mg/dL未満)。治療目標は一律ではなく、患者さんのリスクに応じて個別に設定します。
合併症・リスクについて
脂質異常症が長く続くと、血管の内側にコレステロールが蓄積し、動脈硬化が進行します。動脈硬化は全身の血管で起こり、命に関わる疾患につながります。
✅ 動脈硬化は「戻せる」段階がある
動脈硬化は不可逆と思われがちですが、早期から脂質を適切に管理することで進行を止め、プラーク(血管内の蓄積物)を縮小できることが示されています。早めの治療が血管を守ります。
食事療法
脂質異常症の食事療法は、異常の種類によって注意するポイントが異なります。LDH高値には飽和脂肪酸の制限、中性脂肪高値には糖質・アルコールの制限が特に重要です。
飽和脂肪酸を減らす
肉の脂身・バター・乳製品・ラード・ヤシ油などに多い飽和脂肪酸はLDLを上げます。青魚・オリーブオイルなど不飽和脂肪酸に置き換えましょう。
糖質・アルコールを控える
白米・麺類・甘いもの・アルコールは中性脂肪を上げます。糖質の適正化とアルコールの制限で中性脂肪が大きく改善します。
食物繊維・大豆を積極的に
野菜・きのこ・海藻・豆類の食物繊維はコレステロールの吸収を抑えます。大豆たんぱくもLDLを下げる効果があります。
運動療法・生活習慣の改善
有酸素運動はHDL(善玉コレステロール)を増やし、中性脂肪を下げる効果があります。継続することで脂質プロファイル全体の改善が期待できます。
ウォーキング・水泳・サイクリングなどを週3〜5回、1回30分以上。継続することでHDLが増加し、中性脂肪が低下します。
喫煙はHDLを低下させ、動脈硬化を加速します。禁煙するだけでHDLが上昇し、心血管リスクが大幅に改善します。
肥満は中性脂肪を上げ、HDLを下げます。体重を5〜10%減らすだけで脂質バランスが大きく改善することがあります。
薬物療法
食事・運動療法を3〜6か月続けても目標値に達しない場合、または心血管リスクが高い場合には薬物療法を行います。脂質異常症の薬は安全性が高く、長期服用で動脈硬化の進行を抑制することが多くの研究で証明されています。
主な薬の種類
| 薬の種類 | 代表的な薬 | 主な特徴・適応 |
|---|---|---|
| スタチン系薬 | ロスバスタチン、アトルバスタチンなど | LDLを強力に下げる第一選択薬。心筋梗塞・脳卒中の予防効果が最も証明されているクラス。 |
| エゼチミブ | ゼチーア | 腸からのコレステロール吸収を抑える。スタチンと組み合わせてさらにLDLを下げる。 |
| PCSK9阻害薬 | エボロクマブ(レパーサ)など | 注射製剤。LDLを劇的に下げる新世代の薬。スタチンで不十分な高リスク患者や家族性高コレステロール血症に有効。 |
| フィブラート系薬 | フェノフィブラートなど | 中性脂肪を下げ、HDLを上げる。高中性脂肪血症・低HDL血症に有効。 |
| EPA製剤 | イコサペント酸エチル(エパデール) | 青魚由来のEPAを高純度で製剤化。中性脂肪を下げ、心血管イベントの抑制効果も確認されている。 |
💊 「薬を飲んだらやめられない?」について
脂質異常症の薬、特にスタチンは心筋梗塞・脳卒中の予防効果が非常に高く、多くの場合は長期服用が推奨されます。ただし生活習慣が大きく改善した場合は減薬・中止を検討できます。自己判断での中止は避け、必ず医師にご相談ください。
受診のご案内
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