糖尿病外来
「血糖値が高め」「糖尿病と言われた」そう感じたら、早めにご相談ください。正しい知識と治療で、糖尿病は十分にコントロールできる病気です。
糖尿病とは
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が慢性的に高くなる病気です。本来、食事で摂取した糖はインスリンというホルモンの働きによって細胞にエネルギーとして取り込まれますが、インスリンの分泌量が不足したり、働きが低下したりすることで血糖が行き場を失い、血液中に溜まり続けます。
日本では成人の約6人に1人が糖尿病または予備群と言われており、決して珍しい病気ではありません。しかし、自覚症状が乏しいことから「気づかないうちに進んでいた」というケースが多いのが特徴です。
1型糖尿病
膵臓のβ細胞が破壊されインスリンがほとんど分泌されなくなるタイプ。自己免疫が主な原因で、インスリン注射が必須です。
2型糖尿病
遺伝的素因に、過食・運動不足・肥満などの生活習慣が加わって発症するタイプ。日本の糖尿病の約90〜95%を占めます。
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて発見される糖代謝異常。出産後に改善することが多いですが、将来的な糖尿病リスクに注意が必要です。
💡 糖尿病は「治る」病気ではないが「コントロールできる」病気
早期に適切な治療を始め、血糖値を安定させることができれば、合併症のリスクを大幅に下げ、健康的な日常生活を続けることができます。「糖尿病=怖い」ではなく、「早めに対策する」ことが大切です。
症状・サインを知る
2型糖尿病は長い間自覚症状がないことがほとんどです。しかし、血糖値が高い状態が続くと、少しずつ体にサインが現れてきます。下記のような症状が続く場合は、血糖値の検査をおすすめします。
⚠️ 症状がない=大丈夫、ではありません
糖尿病の怖いところは、自覚症状がほとんどない段階から血管や神経へのダメージが進行していることです。健康診断で「血糖値が高め」「HbA1cが高い」と指摘された場合は、症状がなくても早めに受診してください。
検査・診断の流れ
糖尿病の診断には主に血液検査を行います。1回の検査だけでなく、複数の指標を組み合わせて総合的に判断します。当クリニックでは院内での血液検査が可能で、結果をもとに丁寧にご説明します。
| 検査項目 | 概要 | 診断基準(目安) |
|---|---|---|
| 空腹時血糖 | 8時間以上絶食後に測る血糖値 | 126 mg/dL以上で糖尿病型 |
| 随時血糖 | 食事時間を問わずいつでも測れる | 200 mg/dL以上で糖尿病型 |
| HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) | 過去1〜2か月の平均血糖値を反映する指標 | 6.5%以上で糖尿病型 |
| 75g OGTT (経口ブドウ糖負荷試験) |
ブドウ糖液を飲んで2時間後の血糖値を確認 | 2時間値200 mg/dL以上で糖尿病型 |
🩺 HbA1cとは?
HbA1cは赤血球に含まれるヘモグロビンと血糖が結合した割合を示します。過去1〜2か月の「血糖コントロールの成績表」のようなもので、直前の食事に左右されないため、糖尿病の管理指標として最も重要視されます。治療目標は一般的に7.0%未満です。
合併症について
血糖値が高い状態が長く続くと、全身の血管や神経に影響が出てきます。合併症は「ある日突然起きる」ものではなく、じわじわと進行します。だからこそ、早期から血糖をコントロールすることが最大の予防になります。
✅ 合併症は「防げる」
HbA1cを7%以下に維持できれば、合併症の発症リスクを大幅に抑えられることが多くの研究で示されています。「怖い病気」ではなく「きちんと管理すれば怖くない病気」として向き合いましょう。当クリニックでは、合併症のスクリーニング(尿検査・眼底紹介など)も適切なタイミングでご案内しています。
食事療法
食事療法は糖尿病治療の基本です。「食べてはいけないものがたくさんある」というイメージをお持ちの方も多いですが、特別な食事をする必要はなく、「バランスのよい食事を適切な量とる」ことが基本です。
適切なカロリー管理
摂取カロリーの目安は体重・活動量によって異なります。主治医・管理栄養士と相談しながら決めましょう。
栄養バランス
炭水化物・たんぱく質・脂質・食物繊維をバランスよく。野菜から食べ始めると血糖の上昇がゆるやかになります。
食べ方の工夫
1日3食・規則正しく・ゆっくり噛む。食事を抜くと次の食後血糖が急上昇しやすくなるため注意が必要です。
食事指導については、ご希望の方には管理栄養士による栄養指導もご案内できます。「何を食べていいかわからない」「献立のコツを教えてほしい」など、お気軽にお申し付けください。
運動療法
適度な運動は、筋肉による糖の消費を促し、インスリンの効きを改善します。血糖コントロールだけでなく、体重管理・血圧低下・脂質改善・ストレス解消など多くのメリットがあります。
有酸素運動
ウォーキング・水泳・自転車など。週3〜5回、1回30分程度、少し汗ばむ強度を目安に。食後1〜2時間が最も効果的です。
筋力トレーニング
スクワット・腕立て伏せなどのレジスタンス運動。筋肉量が増えることでインスリン感受性が向上します。週2〜3回が目安です。
⚠️ 運動を始める前に必ずご相談を
合併症(網膜症・腎症・心臓病など)がある場合や、低血糖リスクのある薬を使用している場合は、運動の種類・強度・タイミングに注意が必要です。運動療法を始める前に必ず医師にご相談ください。
薬物療法 ― 内服薬
食事・運動療法だけでは十分な血糖コントロールが難しい場合、内服薬による治療を行います。糖尿病の薬には複数の種類があり、患者さんの状態・合併症・体質に合わせて選択します。現在では心臓・腎臓を守る効果が証明された薬も登場しています。
主な内服薬の種類
| 薬の種類 | 代表的な薬 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ビグアナイド薬 | メトホルミン | 肝臓での糖の産生を抑える。低血糖リスクが低く、体重増加しにくい。世界で最も広く使われる糖尿病薬の一つ。 |
| SGLT2阻害薬 | エンパグリフロジン、ダパグリフロジンなど | 腎臓で余分な糖を尿に排泄する。体重・血圧を下げる効果もあり、心不全・腎臓病への保護効果が証明されている。 |
| DPP-4阻害薬 | シタグリプチン、アログリプチンなど | インスリン分泌を食後に応じて促進。低血糖リスクが低く、日本で広く処方されている。 |
| SU薬 | グリメピリドなど | インスリン分泌を強力に促進。血糖降下作用が強い一方、低血糖・体重増加に注意が必要。 |
| αグルコシダーゼ阻害薬 | ボグリボース、アカルボースなど | 腸での糖の吸収を遅らせ、食後血糖の上昇を抑える。食直前に服用する。 |
💊 メトホルミン・SGLT2阻害薬について
メトホルミンは長年にわたる実績があり、現在も2型糖尿病治療の第一選択薬のひとつです。SGLT2阻害薬は比較的新しいクラスですが、血糖コントロールに加えて心臓・腎臓を守る効果が示されており、動脈硬化リスクの高い患者さんに特に有用とされています。最適な薬の組み合わせは患者さんそれぞれの状態によって異なりますので、医師と十分相談の上で決定します。
薬物療法 ― 注射療法
内服薬での治療が難しい場合や、より強力な血糖コントロールが必要な場合には注射療法を行います。注射と聞くと不安に感じる方も多いですが、現在の注射薬は非常に細い針で、ほとんど痛みなく自己注射できます。
💉 インスリン療法
膵臓から分泌されるインスリンを補充する治療法です。1型糖尿病では必須で、2型でも内服薬だけでは不十分な場合に使用します。作用時間の異なる種類を組み合わせ、日々の血糖リズムに合わせて調整します。
💉 GLP-1受容体作動薬 注射・内服あり
食後のインスリン分泌を促し、食欲を抑える作用があります。代表薬はオゼンピック(セマグルチド)。体重減少効果と心血管保護効果が証明されており、近年注目を集めています。週1回の注射製剤が主流で、内服薬(リベルサス)も登場しています。
💉 GLP-1/GIP受容体作動薬 新世代
GLP-1に加えてGIPという別のホルモンにも作用する新世代の治療薬です。代表薬はマンジャロ(チルゼパチド)。体重減少効果がさらに高く、血糖コントロールの改善効果も非常に優れていることが臨床試験で示されています。
📌 注射療法を始めるときは
注射療法を始める際は、自己注射の手技を丁寧にご説明します。注射部位・タイミング・針の廃棄方法など、不安がなくなるまでしっかりサポートしますのでご安心ください。
受診のご案内
血糖値が気になる方、健診で引っかかった方、まずはお気軽にご相談ください。
午前 10:00 〜 13:30 / 午後 15:00 〜 18:30

