
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
症状と治療について
過敏性腸症候群は、検査をしても腸に明らかな異常がないにもかかわらず、腹痛や便通異常(下痢・便秘)が続く病気です。ストレスや緊張で悪化しやすく、日常生活や通勤・通学に影響することがあります。
過敏性腸症候群(IBS)は、腸の運動や知覚の異常により、腹痛や便通の変化が慢性的に続く病気です。排便により腹痛が軽くなることが特徴の一つです。
便通の状態により、下痢型・便秘型・混合型などに分けられます。命に関わる病気ではありませんが、症状を繰り返しやすいため、治療と生活習慣の見直しが大切です。
以下のような症状がある場合は、過敏性腸症候群が疑われます。
- 腹痛があり、排便すると軽くなる
- 下痢や便秘を繰り返している
- 通勤・通学中や会議の前などに、急にお腹が痛くなる
- お腹が張る、ガスが多い
- 緊張する場面で、トイレが気になる
- 数か月以上、お腹の不調が続いている
はっきりした原因は分かっていませんが、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。
| 要因 | 特徴 |
|---|---|
| 腸の運動の異常 | 腸の動きが速すぎたり、けいれんのように強く動いたりすることで、下痢や腹痛が起こります |
| 腸の知覚過敏 | わずかな刺激でも腹痛や便意を感じやすくなっています |
| ストレス・自律神経の乱れ | 脳と腸は互いに影響し合っており、緊張や不安が腸の症状として現れます |
| 食事・生活習慣 | 脂っこいもの、刺激物、アルコール、不規則な食事や睡眠不足が症状を悪化させます |
| 感染性胃腸炎のあと | 胃腸炎をきっかけに腸が過敏になり、症状が続くことがあります |
症状の経過を確認し、他の病気が隠れていないかを確認したうえで、治療を行います。
症状のタイプや程度に応じて、薬を組み合わせて使用します。
| 分類 | 代表的な薬(商品名®/一般名) | 特徴 |
|---|---|---|
| 消化管運動調節薬 | セレキノン®(トリメブチン) | 腸の動きを整え、下痢と便秘のどちらにも用いられます |
| セロトニン3受容体拮抗薬 | イリボー®(ラモセトロン) | 下痢型で、腹痛や便意を抑えます |
| 整腸剤 | ビオフェルミン®(ビフィズス菌) | ビフィズス菌などの乳酸菌を含む整腸剤です。下痢・便秘のどちらにも用いられ、小児から高齢者まで幅広く使用されています。 |
| ビオスリー®(ラクトミン・酪酸菌・糖化菌) | 乳酸菌・酪酸菌・糖化菌の3種類の菌を配合した整腸剤です。複数の菌が働き、腸内環境を整えます。 | |
| ミヤBM®(酪酸菌) | 酪酸菌(宮入菌)を含む整腸剤です。芽胞を作る菌で、抗菌薬と併用しやすい特徴があります。 | |
| ラックビー®(ビフィズス菌) | ビフィズス菌製剤です。大腸でビフィズス菌を補い、腸内環境を整えます。 | |
| 抗コリン薬 | ブスコパン®(ブチルスコポラミン)など | 腸のけいれんによる腹痛を和らげます |
| 下剤・便秘治療薬 | マグミット®(酸化マグネシウム)/リンゼス®(リナクロチド)など | 便秘型で、便通を整えます |
| 漢方薬 | 桂枝加芍薬湯など | 腹痛や腹部の張りがある場合に、体質や症状に応じて選択します |
- 規則正しい時間に食事をとり、睡眠を十分にとる
- 脂っこいもの、刺激物、アルコール、冷たいものを控える
- 症状が出たときの食事や状況を記録しておく
- 適度な運動や入浴で、ストレスを溜めないようにする
- 朝に時間の余裕をもち、排便のタイミングを整える
過敏性腸症候群は大腸がんなどの病気と関係がありますか。
過敏性腸症候群は、検査をしても大腸に炎症や腫瘍などの異常がみられない病気です。ただし、血便、体重減少、貧血などがある場合は、他の病気の確認が必要になるため、必要に応じて専門医療機関と連携します。
ストレスが原因ですか。
ストレスは症状を悪化させる大きな要因ですが、原因はそれだけではありません。腸の動きの異常、腸の過敏性、腸内環境、食事、感染後の腸の変化などが関係すると考えられています。
治る病気ですか。
命に関わる病気ではありませんが、症状を繰り返すことが多い病気です。薬による治療と生活習慣の見直しで、症状をコントロールしていきます。
食事で気をつけることはありますか。
脂っこいもの、刺激物、アルコール、冷たいもの、カフェインなどは症状を悪化させることがあります。症状に関連しやすい食べ物は人によって異なるため、症状が出た食事を記録しておくことをおすすめします。
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